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胃カメラと胃レントゲンの違いは?どっちがいいの?


いさか内科・消化器内視鏡クリニックの井坂です。

胃は内視鏡(胃カメラ)による検査、もしくはバリウムを飲んでレントゲンで撮影するX線検査で調べることができます。
なんとなく病院で受けるのは胃カメラ、健診やドックなどで受ける検査は胃カメラもしくは胃X線のイメージだと思います。
今回はこれらの検査について解説したいと思います
それぞれのメリット、デメリットを整理すると以下の様にまとめられます。

【胃内視鏡検査(胃カメラ)】
メリット
・直接、粘膜を観察するので、小さいがんを発見しやすい
・直接組織を採取できるため診断が早い
・食道がんの発見がしやすい
・麻酔を使用すれば検査時の身体的苦痛が少ない
デメリット
・費用がバリウム検査と比較して若干高い
・確率は非常に低いが、咽頭麻酔によるショックや穿孔・出血のリスクがある
・口から内視鏡を入れる場合、咽頭反射が起こりやすい
・鼻から内視鏡を入れる場合、鼻血が出ることがある
・薬剤によるアレルギー反応が生じる可能性がある

【胃X線検査(バリウム検査)】
メリット
・胃の全体像を観察できる
・進行がんであるスキルス胃がんを発見しやすい
デメリット
・小さな病変を発見しにくい
・胃カメラに比べて食道がんの発見精度が低い
・異常が見つかった場合、内視鏡検査を受ける必要がある
・バリウムを飲み込むのが大変
・検査後に下剤を飲む必要がある
・放射線被曝がある

詳しく説明していきます。
1)胃がんの発見率が異なる。
内視鏡はX線と比べて胃がんの発見率は統計上2.8倍ほど上昇しています。
胃X線検診: 胃がん/受診者数:5216人/6776770人  → 胃がん発見率・・0.077%
胃内視鏡検診: 胃がん/受診者数:1050人/ 485429人  → 胃がん発見率・・ 0.22%
(平成25年度消化器がん検診全国集計資料集 2013より抜粋)

2)胃内視鏡は精密検査に位置付けられる。
胃X線検査を受けて“要精密”と判定された場合は胃内視鏡による二次検診が必要となります。
最初から胃内視鏡を受けていれば、二度手間を省くことができ、診断が確定するまでの時間も短縮することができます。

3)胃内視鏡は食道・十二指腸も詳細に観察できる。
胃内視鏡のほうが咽頭(経鼻の場合)、食道、十二指腸など胃以外の部分を丁寧に調べることができます。
内視鏡治療が可能な段階で見つかる早期の食道がんはほぼ内視鏡でないと見つかりません。
胃X線検査でも食道を観察できますが、バリウムを飲み込む一瞬しか捉えていないため、胃カメラに比べると観察が十分にできない場合が多く、ある程度進行した状態でないとその変化(異常)を捉えることが難しいです。

4)胃内視鏡ではピロリ菌の感染の有無を予想することができ、除菌治療へとスムーズに進める。
胃X線検査でもピロリ菌感染を疑う胃炎の所見は判定できますが、除菌を保険診療内で受ける場合には内視鏡検査を受ける必要がありますので、最初から内視鏡を受けた方が効率的です。

以上の点から明らかなように胃の検査は現代においては胃内視鏡の一択です。
では、なぜ胃X線検査が健診でまだ行われているのでしょうか?
それは、検査を実施するマンパワーとコストが絡んでくるからです。
胃内視鏡は医師、胃X線は放射線技師が担当しますので、検査できる人数は胃X線の方が多いですし、コストも胃X線の方が安く済むのです。

結論として、
・症状がある方
・一度でもX線で要精査となった方
・ピロリ菌を除菌した方 
→ 胃内視鏡

・症状のない方 
・胃内視鏡を以前に受けてピロリ菌のいない胃と判断された方
→ 胃X線

をおススメするといった感じになります。
胃がんはピロリ菌がいない胃から発生することは稀です。
従って、一度内視鏡でピロリ菌のいない胃であることが確認でき、胃の症状もなければ、毎年、胃の検査を受ける必要はありません。
(ピロリ菌には幼少期に感染すると言われ、成人で初感染することは稀だからです)
人によって胃がんのリスクは異なりますので、そのリスクに応じた検査を受けることが効率的です。
是非とも自分の胃のリスクを知って、効率的な健診を受けてください。
当院では胃X線はできませんが、鼻からの内視鏡・鎮静剤を使用した内視鏡どちらでも対応でき、即日、胃のリスクについての説明も行います。
お気軽にお問い合わせください。

いさか内科・消化器内視鏡クリニック 院長 井坂利史

日本内科学会認定       内科認定医
               総合内科専門医 
日本消化器病学会認定     消化器病専門医  
日本消化器内視鏡学会認定   消化器内視鏡専門医 
日本消化管学会認定      胃腸科専門医 
日本ヘリコバクター学会認定  ピロリ菌感染症認定医




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