“ピロリ菌は除菌しなくてもいい”と聞いたことがあるのですが・・
いさか内科・消化器内視鏡クリニック院長の井坂です。
先日、ある患者さんから”ピロリ菌は除菌しなくてもいいと以前受診した先生に言われたのですが・・”という問い合わせを受けましたので、今回はこの問いに対して整理して説明したいと思います。
最初に結論を述べますと除菌はした方がいい!です。
まず、除菌によるメリット、デメリットを整理していきましょう。
【メリット】
・胃がんリスクを下げる
まず、胃がん患者さんのうち99%の人がピロリ菌に感染しているという背景があります。
そして、このピロリ菌を除菌することで胃がん発生率を下げることも統計上明らかになっています。
(早期胃がんの治療後にピロリ菌を除菌した患者さんは、除菌をしなかった患者さんと比べて3年以内の新しい胃がんの発生率が約3分の1に減少したという日本国内からの報告)
この結果を受けて、症状や既往歴に関係なく”ピロリ菌感染症”として保険診療内での除菌が認められているわけです。
もちろんピロリ菌に感染している人の全員が胃がんになるわけではありませんが、胃・十二指腸潰瘍や悪性リンパ腫、蕁麻疹、特発性血小板減少症(ITP)といった疾患とも関連していると言われているため、基本的には除菌は推奨されます。
・胃・十二指腸潰瘍の再発率を下げる
胃・十二指腸潰瘍はピロリ菌による炎症が原因となっていることがほとんどです。
除菌治療が確立されるまでは胃・十二指腸潰瘍は再発を繰り返すことが稀ではありませんでした。
私が研修医であった頃は夜間に度々吐血で運ばれる患者さんがいて、そのほとんどが胃・十二指腸潰瘍からの出血でした。
今ではこういったケースは稀になっています。
【デメリット】
・除菌後に逆流性食道炎になる可能性がある
今回の問いの発端になった点と思われます。
つまり、ピロリ菌を除菌すると胃が健康になり、胃酸の量が除菌前よりも相対的に増えるとされています。
その増えた胃酸が食道に逆流して逆流性食道炎になる人が一定数いるのです。
除菌前は無症状だったのに、除菌したら胸やけが出て、なんか調子悪くなったという方は確かにいます。
ただその確率は食道裂孔ヘルニアといって食道と胃の括約筋がゆるんでしまっている方にはみられる程度で、それほど高い確率ではありません。
実際に発症しても胃酸分泌を抑える薬で症状のコントロールは可能です。
以上のことから
逆流性食道炎の発症を気にして除菌をしないという選択肢は基本的にありません。
私のスタンスとしても内視鏡で慢性の活動性胃炎の所見があり、実際にピロリ菌感染が確認できた方には全員除菌を勧めています。
一次・二次除菌が不成功であったり、ペニシリン系抗生剤にアレルギーがあったりした場合での自費除菌治療にも対応しています。
最後に、一つ留意してほしい点としては“除菌ができても胃がんのリスクが0になるわけではありません。”という点です。
除菌後も定期的な胃カメラによる検診は必須です。この点は除菌が成功した全員にお伝えしている事です。
① ピロリ菌除菌による可能な限りでのがん発生予防
② それでも発生してしまった場合に備えて定期的な内視鏡による早期発見
この2点に留意しておけば胃がんも怖くないと言えるのです。
いさか内科・消化器内視鏡クリニック院長 井坂利史
日本内科学会認定 内科認定医
総合内科専門医
日本消化器病学会認定 消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医
日本消化管学会認定 胃腸科専門医
日本ヘリコバクター学会認定 ピロリ菌感染症認定医
先日、ある患者さんから”ピロリ菌は除菌しなくてもいいと以前受診した先生に言われたのですが・・”という問い合わせを受けましたので、今回はこの問いに対して整理して説明したいと思います。
最初に結論を述べますと除菌はした方がいい!です。
まず、除菌によるメリット、デメリットを整理していきましょう。
【メリット】
・胃がんリスクを下げる
まず、胃がん患者さんのうち99%の人がピロリ菌に感染しているという背景があります。
そして、このピロリ菌を除菌することで胃がん発生率を下げることも統計上明らかになっています。
(早期胃がんの治療後にピロリ菌を除菌した患者さんは、除菌をしなかった患者さんと比べて3年以内の新しい胃がんの発生率が約3分の1に減少したという日本国内からの報告)
この結果を受けて、症状や既往歴に関係なく”ピロリ菌感染症”として保険診療内での除菌が認められているわけです。
もちろんピロリ菌に感染している人の全員が胃がんになるわけではありませんが、胃・十二指腸潰瘍や悪性リンパ腫、蕁麻疹、特発性血小板減少症(ITP)といった疾患とも関連していると言われているため、基本的には除菌は推奨されます。
・胃・十二指腸潰瘍の再発率を下げる
胃・十二指腸潰瘍はピロリ菌による炎症が原因となっていることがほとんどです。
除菌治療が確立されるまでは胃・十二指腸潰瘍は再発を繰り返すことが稀ではありませんでした。
私が研修医であった頃は夜間に度々吐血で運ばれる患者さんがいて、そのほとんどが胃・十二指腸潰瘍からの出血でした。
今ではこういったケースは稀になっています。
【デメリット】
・除菌後に逆流性食道炎になる可能性がある
今回の問いの発端になった点と思われます。
つまり、ピロリ菌を除菌すると胃が健康になり、胃酸の量が除菌前よりも相対的に増えるとされています。
その増えた胃酸が食道に逆流して逆流性食道炎になる人が一定数いるのです。
除菌前は無症状だったのに、除菌したら胸やけが出て、なんか調子悪くなったという方は確かにいます。
ただその確率は食道裂孔ヘルニアといって食道と胃の括約筋がゆるんでしまっている方にはみられる程度で、それほど高い確率ではありません。
実際に発症しても胃酸分泌を抑える薬で症状のコントロールは可能です。
以上のことから
逆流性食道炎の発症を気にして除菌をしないという選択肢は基本的にありません。
私のスタンスとしても内視鏡で慢性の活動性胃炎の所見があり、実際にピロリ菌感染が確認できた方には全員除菌を勧めています。
一次・二次除菌が不成功であったり、ペニシリン系抗生剤にアレルギーがあったりした場合での自費除菌治療にも対応しています。
最後に、一つ留意してほしい点としては“除菌ができても胃がんのリスクが0になるわけではありません。”という点です。
除菌後も定期的な胃カメラによる検診は必須です。この点は除菌が成功した全員にお伝えしている事です。
① ピロリ菌除菌による可能な限りでのがん発生予防
② それでも発生してしまった場合に備えて定期的な内視鏡による早期発見
この2点に留意しておけば胃がんも怖くないと言えるのです。
いさか内科・消化器内視鏡クリニック院長 井坂利史
日本内科学会認定 内科認定医
総合内科専門医
日本消化器病学会認定 消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医
日本消化管学会認定 胃腸科専門医
日本ヘリコバクター学会認定 ピロリ菌感染症認定医
ピロリ菌は必ず退治しましょう